フリーランスの一年間「第15回 フリーランス 確定申告 」 確定申告の手順と注意点

確定申告の方法

フリーランス 確定申告 理解を深める

前回の記事「第14回 経費・税金」では、正しい納税を行うための適切な計上方法などをポイントとして紹介してきました。フリーエンジニアの皆さんはどのようなものが経費として落とせるのか、またどのようにしたら正しい節税を行うことができるのかなどを理解されてきたことと思います。
今回はいよいよ最後になりますが、フリーランスエンジニアの方が必ず行う必要のある「確定申告」について詳しく説明していきます。

確定申告を初めて行う場合は、何から始めて良いかなど戸惑う方も多いと思います。また慣れた方でも、もう一度知識の再確認をされたい方もいるかもしれません。今回は、確定申告の手順や注意点を理解し、スムーズに確定申告を行えるように理解を深めていきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

フリーランス 確定申告 ITエンジニアのための知識

まずは、フリーランスのITエンジニアにとって、確定申告とは一体どのようなものなのか、その概要と確定申告の種類について詳しくご紹介していきます。
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1.確定申告の概要

フリーランスのSEやプログラマが年に一度必ず行っていると思われる確定申告とは、システム開発の受注案件などで一年間に得た所得にかかる税金を自分自身で計算して申告・納税する手続きのことです。
フリーランスのエンジニアの場合、全ての報酬が利益となったわけではなく、かなりの経費が生じているケースがあります。最終的には、経費や各種控除などを差し引いた金額から、所得税を改めて計算し直します。そのため、必要経費が多ければ自然と納める税金は少なくなるかもしれません。

2.白色申告と青色申告の違い

確定申告には、白色申告と青色申告の2種類が存在します。青色申告を行うためには個人事業主としての開業から2カ月以内、またはその年の3月15日までに税務署へ申請するなど、事前に手続きをする必要があります。
詳しくは、念のためにお近くの税務署などに必ず確認するようにしてください。

白色申告の特徴は基本的には以下のように理解されています。
● 単式簿記
● 申請書の提出不要
● 特別控除は受け取り不可
● 赤字は繰り越せない

また、青色申告の特徴は基本的には以下のように理解されています。
● 複式簿記
● 10万円または55万円の特別控除が受け取れる(e-Taxであれば65万円)
● 青申告承認申請書の提出が必要
● 赤字を3年間繰り越せる

このように、白色申告は青色申告より簡単に確定申告することができますが、青色申告は白色申告よりも経費や控除分の考慮が増えるため、一般的に納税額も安くなる可能性が高まります。充分な売上のあるフリーランスエンジニアの方であれば、出来るだけ「青色申告」を活用することをおすすめします。
また、一見手間のかかるように見える青色申告ですが、次年度からは前年度の作成スキルや申告した用紙をドラフトにして取り組めますので申告手続きはぐっと楽になることでしょう。

フリーランス 確定申告 実際の流れを紹介

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確定申告を行う手順は以下の通りです。それぞれを丁寧に説明していきます。
1. 必要書類の用意
2. 提出用の書類を用意
3. 税務署へ提出
4. 納税または還付を受ける

1.必要書類を用意

確定申告書類を作成するために、システム開発の受注案件に関する請求書や領収書、控除対象となる保険納付書の控えなどを整理して準備します。ふるさと納税を利用した場合には受領書を、生命保険料や地震保険料などに加入している場合には控除証明書なども一緒に準備しておきましょう。
できれば毎月それらを整理して簡単な会計ソフトなどに登録していきながら、日ごろから売上の推移、経費の総額、納税額の見込みなどを把握しておくと、収支管理の面からも非常に役にたつと思います。
確定申告や納税額だけを気にするエンジニアではなく、収支の見込みを把握したり、希望にあふれる次なる戦略を描きながら充実したフリーランスライフを送れるよう活用してみてください。
白色申告を行う際に必要な書類、青色申告を行う際に必要な書類に応じて各種申告書などを用意しましょう。

たとえば青色申告の場合は
● 確定申告書B
● 青色申告決算書
などを作成します。

2.提出用の書類を用意

税務署・国税庁のホームページから確定申告書をダウンロードすることが可能です。その後、収入金額・所得金額・控除額などを記入します。この書類に記載されている数字をもとに、税金・社会保険料などが計算されますので間違いのないように注意しましょう。

3.税務署へ確定申告書を提出する

全ての項目への記入が終わり、確定申告書が完成したら以下のいずれかの方法で提出します。
● 税務署へ持参
● 税務署へ郵送
● e-Taxを利用してインターネット上から提出

もし不明点や確実に進めたいことなどがあれば、ぜひ税務署へ行って相談しながら内容を見てもらうようにしましょう。実はこの方法が、長い目で見てもっとも確実で、かつ次回から疑問点や心配な個所が減ることで作成作業が早くなるため、おすすめです。
たとえば、後で申告漏れや経費として認められない事項などを指摘されて追徴課税になってしまうリスクも抑えらるため、フリーランスのエンジニアを長く続けていく場合でも、安心感がいっそう高まるでしょう。

4.納税または還付を受ける

確定申告の結果、追加で納税する必要があるケースがありえます。その際には、税務署の窓口などで支払いましょう。
逆に、多く税金を払っていた場合には、税金が還付されることとなります。その際は、一定期間のあとに、指定の口座に振り込まれます。
正しい還付もフリーランスエンジニアの特権ですね。

フリーランス 確定申告 エンジニアが行う際の注意点

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確定申告は、3月15日までに行わなければなりません。エンジニアとして受注した案件があり、その年度に収入があったにも関わらず確定申告を行わない場合や、期日までに受注や経費を加味した確定申告書を提出しない場合には、ペナルティが課せられてしまいます。

具体的なペナルティの例としては、以下のようなものがあります。
● 無申告加算税:納税額に対して15〜20%の上乗せ
● 延滞税:支払いが遅れた納税額に対する利息相当分の上乗せ

こうしたペナルティが課せられるのは、経済的な面だけではなく、精神的にも苦しい状態となってしまう恐れがあります。そのため、フリーランスエンジニアの方は早めに確定申告の準備を行い、忘れたり遅れたりすることのないように注意しましょう。
また、フリーランスエンジニアとして働き始めたばかりだと赤字になってしまうこともあるでしょう。その際、「赤字だから確定申告は行わなくていいのでは」と考えてしまいがちですが、赤字だからこそ確定申告するべきです。
青色申告であれば、前述したように、その年度の赤字を翌年以降に一定程度繰り越すことが可能となります。つまり、翌年及び翌々年が黒字の場合に、所得から赤字だった分を差し引くことができるため赤字の場合でも確定申告をするべきなのです。

さらに、一部を源泉徴収されているような場合には、確定申告することによって所得税が還付される可能性も考えられますので、「赤字だったから」と思うのではなく、「赤字だからこそ」と思い、しっかり確定申告しておきましょう。
中でも注意が必要なのは、青色申告が取り消される可能性もあるということです。

青色申告承認が取り消される条件は以下の通りです。
● 帳簿書類を提示しない場合
● 税務署長の指示に従わない場合
● 隠蔽などがある場合
● 二重帳簿や過少申告などがある場合
上記の条件に該当した場合、青色申告が取り消され、65万円の控除額がなくなりますので、十分に注意しましょう。

フリーランス 確定申告 -まとめ

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今回は、フリーランスエンジニアの確定申告について詳しく説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。フリーランスエンジニアとして働いている方にとっては、毎年必ず行わなければならない大切な作業です。この確定申告で、納める税金の金額が決まり、また忘れたり遅れたりしてしまうと、ペナルティが課せられてしまいます。
このペナルティは、節税をしたい方にとって、精神的にも経済的にも、かなりのダメージとなってしまうでしょう。また、確定申告を青色申告で行う場合、赤字決算になってしまった時でも疎かにしないできちんと確定申告するようにしましょう。


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